ケニア

世界最優秀教師はケニア人

2019年3月、ケニアのとある田舎の学校に勤務する理科教員ピーター・タビチ氏が、世界で最も優秀な教員に対して贈られる「Global Teacher Prize(世界最優秀教師賞)」を受賞しました。

 

今回で5度目となるこの選考は、ドバイを拠点にする「バーキー財団」によって運営されています。

 

この受賞は彼自身や、世界にとってどんな意味があるのでしょう。

 

「Global Teacher Prize(世界最優秀教師賞)」とは

上記の通り、この授賞式を主催する「バーキー財団」は、世界中の困難な状況にいる子どもたちの教育水準向上を支援する慈善団体です。

 

今回で5回目となる当選考ですが、過去の受賞者の出身国は、アメリカ、パレスチナ、カナダ、イギリスであり、今回のタビチ氏は初めてのアフリカからの受賞者となります。

 

ピーター・タビチ氏のプロフィール

タビチ氏は1982年にケニアの地方部で生まれました。

親類に教員が多かったこともあり、教員を目指すこと、そして教員になることは彼にとって自然なことであったようです。

 

そして、2016年にケニア辺境のプワニ(Pwani)村にある中等学校に、理科と数学の教員として赴任します。

 

赴任した学校や地域の特徴

タビチ氏が赴任したプワニ(Pwani)村は、ケニアの半乾燥地域にあり、乾季は干ばつや飢饉も発生し、国内でも生活環境としてはとても過酷な地です。

 

このような劣悪な環境は貧困層も多く生み出します。実際、タビチ氏が教える学校では、一人親家庭や孤児院から通う生徒も多くいるようです。

 

また、この村だけに限らず、ケニアでは早婚、退学、薬物使用など、青少年の健全な育成を阻害する社会問題はたくさんあります。

 

このような問題と向かいながら、タビチ氏は教育活動を実施していかなくてはなりませんでした。

 

タビチ氏の取り組み

この学校に赴任して、タビチ氏が大切にしたのは「徹底的に生徒たちに尽くす」ことでした。

 

2019年9月に英国UCLで開催された講演でも「生徒の才能は無限であり、それを最大限に引き出すのが教師の役目」と語っていたように、タビチ氏はときには月収の8割を生徒のために提供することもあり、生徒に体当たりで接し続けます。

 

学校には、コンピューターが1台しかなく、インターネットへのアクセスも限られており、教員の数も生徒60人に対して1人という状況でした。

 

その中でタビチ氏は「才能育成クラブ」や「平和クラブ」を立ち上げ、授業内外で子ども達にたくさんの学びの場を提供し続けました。

 

他にもたくさんの活動を実施していましたが、とりわけ力を入れていたのが「理科」です。すでに生徒との信頼関係を強固にしたタビチ氏は、生徒と科学の研究に励み、ケニア国内のトップ校ばかりが参加する科学の全国大会で見事に賞を獲得します。

 

このような努力が実り、勤務校の大学進学者の数を倍増させます。また、このことが世間にも広く認められ、この度1万人以上が応募する「世界最優秀教員賞」を見事に手にしたわけです。

 

ケニアにおける教育事情

タビチ氏が、世界中、特に出身国ケニアの教育界に与える影響はとても大きいです。

 

というのも、少しずつ変わりつつはありますが、ケニアの学校ではまだまだ「生徒ファースト」の感覚が浸透していません。

 

タビチ氏のように「生徒の能力を最大限に伸ばす」という信念を持つ教員は多くなく、生徒は静かに授業に参加し、大人の言うことに素直に従うことが良しとされています。現在でも多くの学校で、生徒指導は鞭で叩く方法がとられています。

 

学校設備の充実に加え、教員の意識改革も急務とされているケニアの教育界隈で、タビチ氏はすべての教員にとって最高のロールモデルで、目指されるべき存在であると言えます。

 

おわりに

タビチ氏の功績は、ただ彼自身の経歴に花を添えたわけではなく、ケニアをはじめアフリカ全体の教育界、とりわけ現状を変えていきたいと奮闘する教員達に大きな勇気を与えました。

アフリカの地域事情や教育事情に意識を置きながら、彼がやってきたことを見直してみると、彼の偉大さやアフリカ社会がより理解できるかもしれません。

 

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ABOUT ME
Kohei
名古屋大学大学院国際開発研究科修了後、愛知県内で英語教諭として勤務。退職後、青年海外協力隊(2017年度2次隊青少年活動)に参加し、ケニアに渡る。2019年9月より英国ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)にて、教育開発学を学ぶ。